実験 >関連項目 |
予め決められた定点の映像を取得するため、カメラを定点Aから定点Bに、また定点Bから定点Cに旋回する場合、 カメラの移動速度を一定に保つ制御、また定点A、B、Cに位置決めする制御を必要とします。これらの制御を 自動制御といい、昔から使用され確立した制御方式にPID制御方式があります。 速度制御では、設定された一定速度に素早く安定し、速度のバラツキが小さい制御を目標とします。 上記のシステムでカメラと雲台を使用して対象物の追跡を行う位置制御では、対象物を追跡しながら、 対象物の映像が常に画面の中央に映るよう位置決めすることを目標とします。 Pとは指令と実際の対象物の位置との偏差に比例した制御量を出力する比例ゲインの事です。 偏差が大きいと偏差に比例して大きな制御量を出力し、より目標にカメラの位置を近づけようとします。 I とは目標と実際の対象物の位置との偏差を積分した制御量を出力する場合の、積分に要する時間のことです。 目標と実際の対象物の位置の偏差が小さくなると、比例制御Pのみでは対象物を移動させるのに出力が足りなくなります。 小さな偏差を積分して出力を大きくし、より目標へ近づける働きをします。 Dとは対象物の位置の変化量に比例したゲインと微分時間のことです。先行微分の場合、 対象物の位置が大きく変動した場合その変動を抑える目的で使用します。 |
制御対象にステップの動作指令を加えても、全く制御対象が動作しない時間帯があります。 この時間帯(L)をむだ時間と言い、むだ時間経過後、時定数により動作します。 このむだ時間を含む制御のシミュレーションを行います。 |
むだ時間の大きい制御対象にステップの動作指令を加えると、むだ時間補償が無い場合、その応答に大きなオーバーシュートが発生します。
|
今回シミュレーションを行うブロックダイヤです。 制御対象を一次遅れの下記の伝達関数とし、 むだ時間をとします。 PI補償を行いSW2OFFとしてフィードバックします。 |
むだ時間補償無しで、制御対象のむだ時間を変化させながらPI制御を行った場合のシミュレーションです。
|
比例ゲイン(Kp)=1~3 積分時間(Ti)=160mS 制御対象(Tm)=160mS 制御対象ゲイン(Km)=1 むだ時間=0mS 入力波形:矩形波、0.5Hz SW2=OFF |
図6:制御対象のむだ時間0mSで、比例ゲインのみを変化させた場合、
|
比例ゲイン(Kp)=1 積分時間(Ti)=160mS 制御対象(Tm)=160mS 制御対象ゲイン(Km)=1 むだ時間=0~160mS 入力波形:矩形波、0.5Hz SW2=OFF |
図7:比例ゲイン=1で制御対象のむだ時間を0~160mS変化させた場合
|
制御対象の時定数(Tm)に対し40mS(0.25)、80mS(0.5)、120mS(0.75)、160mS(1.0倍)のむだ時間を与えると、
むだ時間の間、制御対象の応答が無いにも関わらず、指令値と制御対象の応答との偏差をPI補償にて積分し、その結果応答が不安定となります。
図7は、むだ時間が大きくなると、オーバーシュートが大きくなっています。
|
右グラフはむだ時間を120mS、160mS与えた場合の周波数特性です。
開ループゲインが1Hzにて0dBとなり、その時の
位相が-180度に近く、位相余裕が少なくなってい
ます。 開ループ特性:黒色 |
|
Top項目へのアクセス